国際最低課税額の注記
- 安田 亮
- 4月13日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
国際最低課税額の注記に関しての記事です。
1.背景
2025年3月10日付で公布・施行された「会社計算規則の一部を改正する省令」(令和7年法務省令第5号)により、国際最低課税額(グローバル・ミニマム課税、GM課税)に係る法人税等の会計処理および開示の取り扱いが明確化されました。この改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年3月に公表した実務対応報告第46号に対応するものです。
2.具体的な変更点
今回の改正では、国際最低課税額に係る法人税等の取り扱いについて、損益計算書および注記項目の2つの側面からルールが定められています。
① 損益計算書での表示
連結損益計算書では、「法人税、住民税及び事業税」の科目に含めて表示。
個別損益計算書では、以下のいずれかを選択可能。
「法人税、住民税及び事業税」に含め、その金額を注記する。
「法人税、住民税及び事業税」の次に新たな区分を設けて表示。
これにより、企業は国際最低課税額に関する情報を、既存の法人税等の項目と一緒に表示するか、独立した科目として区分するかを選択可能となりました。
② 注記項目の追加
改正会社計算規則第98条1項18号の3 により、「国際最低課税額に関する法人税等の注記」が追加されました。
損益計算書において、国際最低課税額を「その他の法人税等」として含めて表示する場合、その金額を注記。
重要性が乏しい場合は、個別注記表では記載不要とされ、連結注記表では重要なものに限り記載義務あり。
「損益計算書に関する注記」内に含めて表示することも可能とされ、企業の開示の柔軟性が確保されています。
3.実務への影響
この改正により、企業の財務諸表作成時における負担が軽減される一方で、GM課税の影響をより透明にするための情報開示が求められることになります。特に、グローバルに事業を展開する企業にとっては、国際税制の変化への対応が不可欠となります。
また、実務担当者は、「国際最低課税額」の重要性を見極め、適切な注記方法を選択することが求められます。 企業ごとの状況に応じた適用を進めることが、今後の財務報告の質の向上に繋がるでしょう。
まとめ
今回の改正により、国際最低課税額に関する法人税等の開示が強化され、企業の会計処理の透明性が向上します。これにより、投資家やステークホルダーが企業の実態をより正確に把握できる環境が整えられたと言えるでしょう。

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