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賃上げ促進税制と教育訓練費

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 3月18日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


近年、政府は企業の賃上げを支援するために「賃上げ促進税制」を導入し、これを活用する企業も増えています。本記事では、賃上げ促進税制における教育訓練費の上乗せ措置について詳しく解説し、税制適用の際のポイントを整理します。


1.賃上げ促進税制とは?

賃上げ促進税制は、従業員の給与を増加させた企業に対し、税額控除を適用する制度です。特に、企業が教育訓練費を増やすことで追加の税額控除を受けられる仕組みが設けられています。


<上乗せ措置の概要>

企業が前年度と比較して一定割合以上の教育訓練費を増額した場合、税額控除率が以下のように上乗せされます。

  • 大企業・中堅企業向け:5%上乗せ

  • 中小企業向け:10%上乗せ

この制度により、企業は従業員のスキルアップを促進しつつ、税制優遇を受けることが可能になります。


2.期をまたぐ教育訓練費の取り扱い

教育訓練費の支払いが事業年度をまたぐ場合、どのタイミングで適用年度の計算に算入できるのかが重要なポイントとなります。


<適用事業年度の教育訓練費の定義>

適用事業年度に算入できる教育訓練費は、以下の基準で判定されます。

  • 適用事業年度の損金に算入された金額

  • 研修等の実施日や支払日ではなく、損金算入日が基準

  • 未払金として計上していれば、実際の支払日が翌期でも当期の費用として算入可能


<具体的な例>

例えば、3月決算法人が令和7年3月15日に研修を実施し、3月20日に請求書を受領、4月25日に支払いを完了したケースでは、以下のようになります。

  • 3月末時点で未払金として損金計上 → 令和7年3月期の教育訓練費に算入可能

  • 損金計上せず4月に支払った場合 → 令和8年3月期の教育訓練費に算入

このように、適用を受けるためには、決算時に未払計上を行うかどうかが重要となります。


3.賃上げ促進税制の追加措置

令和6年度の改正では、教育訓練費の上乗せ措置に加えて、新たに「女性活躍・子育て支援の上乗せ措置」が創設されました。この制度を活用することで、税額控除率をさらに高めることが可能です。

  • 教育訓練費の上乗せ措置と併用可能

  • 女性活躍推進企業や子育て支援に取り組む企業は、さらなる税制優遇が受けられる

企業は、これらの制度を活用しながら、賃上げや人材育成のための投資を計画的に進めることが推奨されます。


4. まとめ

賃上げ促進税制では、

  • 教育訓練費を増額すると税額控除が上乗せされる

  • 期をまたぐ教育訓練費は、損金算入日を基準に判定

  • 決算時に未払計上すれば当期の教育訓練費として扱える

  • 令和6年度改正で「女性活躍・子育て支援の上乗せ措置」との併用が可能


企業の税務担当者や会計事務所は、適切な計上方法を理解し、税制のメリットを最大限に活用することが重要です。今後の税制改正情報にも注目し、最新の対応を行っていきましょう。



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