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受託業務に係る内部統制の保証報告書

安田 亮

おはようございます!代表の安田です。


JICPA(日本公認会計士協会)は、「受託業務に係る内部統制の保証報告書の発行状況に関する研究文書」を公表し、保証報告書の利用実態を分析しました。本記事では、受託業務における内部統制の保証報告書(SOCレポート)の概要、種類、そして企業にとっての意義について解説します。

受託業務に係る内部統制の保証報告書とは?

受託業務に関わる内部統制の保証報告書は、System and Organization Control(SOC)レポートとも呼ばれ、受託会社の内部統制が適切に設計・運用されているかどうかを監査人が評価するものです。特に、ITアウトソーシング、クラウドサービス、データセンター運営など、外部に業務を委託する企業にとっては、委託先の内部統制が適切であるかを確認する重要な資料となります。

SOCレポートの3つの分類

SOCレポートは、米国公認会計士協会(AICPA)によって、以下の3つに分類されています。

① SOC1レポート

  • 対象:財務報告に関連する内部統制

  • 主な利用者:委託会社の財務部門、監査法人

  • 特徴:機密性が高く、詳細な内部統制の記載が含まれる

  • 日本での適用:JICPAの保証業務実務指針3402に基づいて作成

SOC1は、特に委託会社が自社の財務報告におけるリスク管理をするためのツールとして活用され、受託会社のシステムや業務が財務情報の正確性を損なわないように設計されているかを確認するものです。

② SOC2レポート

  • 対象:財務報告に直接関連しない内部統制(セキュリティ、可用性、機密保持など)

  • 主な利用者:委託会社の管理部門、情報システム部門

  • 特徴:主にクラウドサービス事業者やデータセンター事業者が利用

  • 日本での適用:JICPAの保証業務実務指針3702に基づいて作成

SOC2は、特に情報システムのセキュリティや可用性に関するリスクを管理するために活用されることが多く、ITサービスを利用する企業にとって重要な報告書です。

③ SOC3レポート

  • 対象:SOC2の簡易版(一般公開用)

  • 主な利用者:取引先、投資家、一般消費者

  • 特徴:SOC2の内容を一般向けに公開するもの

  • 日本での適用:JICPAの保証業務実務指針3702に基づいて作成

SOC3は、企業の信頼性を一般に示すためのレポートであり、マーケティングや広報活動にも活用されます。ただし、日本ではSOC3を活用する事例は少ないとされています。

企業にとってのSOCレポートの重要性

① 信頼性の向上

企業が外部の業務を委託する際、受託会社の内部統制が適切であることを確認するための重要な手段となります。特に、クラウドサービスやITアウトソーシングを利用する企業にとっては、SOCレポートの有無がサービス選定の大きな要因となります。

② 監査リスクの軽減

SOC1レポートを取得している受託会社は、委託会社の財務監査においても一定の保証を提供するため、監査対応の負担軽減につながります。

③ コンプライアンスの強化

SOC2レポートは、個人情報や機密情報を扱う企業にとって特に重要であり、適切なリスク管理を実施していることを証明するツールとして機能します。

JICPAの研究文書のポイント

JICPAは、受託業務におけるSOCレポートの発行状況について研究し、以下の点を指摘しました。

  • 保証報告書の発行は、受託会社・委託会社双方の負担軽減に寄与

  • 日本ではSOC3レポートの利用は少ない

  • 保証業務実務指針3402・3702に基づき報告書を作成

  • セキュリティ、可用性、機密保持の観点が特に重要視される

まとめ

SOCレポートは、受託業務の透明性と信頼性を向上させるための重要なツールです。特に、クラウドサービスやIT関連の受託業務においては、SOC2レポートの取得が求められるケースが増えてきています。JICPAの研究文書によると、日本国内でも保証報告書の発行が進んでおり、企業のガバナンス強化の一環として活用が推奨されています。

今後、企業が受託業務を委託する際には、SOCレポートの有無をチェックし、リスク管理を徹底することが重要となるでしょう。



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