おはようございます!代表の安田です。
新リース会計基準では、旧リース会計基準の定めを踏襲しつつも、いくつかの重要な変更が加えられました。その中でも、「無形固定資産リース」と「重要性が乏しい場合の判定」との関係が注目されています。
リース取引における会計処理は、利息法が原則とされていますが、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、以下の簡便的な方法も認められています。
① 利子込法:借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法
② 定額法:利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額配分する方法
この重要性の判定において、新たに「無形固定資産リース」も考慮すべき点として取り上げられています。
重要性が乏しい場合の判定基準
新リース会計基準では、以下の基準を満たす場合に「重要性が乏しい」と判断され、簡便的な会計処理が適用可能となります。
未経過リース料の期末残高が、当該期末における有形固定資産および無形固定資産の合計額の10%未満であること
この判定には、無形固定資産リースも含めることが可能となりました。つまり、企業が無形固定資産リースの会計基準を適用するかどうかにかかわらず、無形固定資産の期末残高を分母に加えて計算することができるのです。
無形固定資産リースの適用と影響
新リース会計基準では、無形固定資産のリース適用は「任意」とされています。しかしながら、無形固定資産のリースを適用範囲に含めることで、重要性判定の計算式の分母が増加し、結果として10%未満の基準を満たしやすくなる可能性があります。
また、投資その他の資産(例:賃貸等不動産)の場合、期末残高を判定基準に加えることはできないとされており、無形固定資産リースとは異なる取り扱いになっています。
重要性が乏しくなくなった場合の対応
リース取引において、期末時点の未経過リース料の割合が10%未満から10%以上に変動した場合、以下のような対応が求められます。
すべてのリースを利息法で処理する
新たなリースのみを利息法で処理し、従来のリースは簡便処理を継続する
企業は、リース契約の状況に応じて適切な会計処理を選択する必要があります。
まとめ
今回の新リース会計基準の改正により、無形固定資産リースの会計処理の選択肢が広がりました。特に、重要性判定の計算において無形固定資産を分母に含めることが認められた点は、実務上の影響が大きいでしょう。
企業に求められる対応としては、以下の点が挙げられます。
リース取引の契約状況を見直し、重要性判定の影響を確認する
無形固定資産リースの適用範囲を慎重に検討する
重要性判定基準が変動した場合の対応方針を明確にする
今後、新リース会計基準がどのように運用されるか注視しつつ、適切な会計処理を進めることが重要です。

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